GoProの「Log撮影」「GP-Logエンコーディング」とは?
GoPro HERO12から新たに搭載された、プロ仕様の撮影フォーマット「GP-Logエンコーディング」について解説。メリット・デメリットは?
公開日: 2024.7.3
動画における「Log」とは何か?
動画の撮影フォーマットおける「Log(ログ)」は広いダイナミックレンジを持つ撮影フォーマットです。Logエンコーディングに対応したフォーマットで動画を撮影すると、通常のビデオよりも、映像制作のポスト・プロダクションでの柔軟な映像調整が可能となります。
デジタルカメラに詳しい方なら「RAWと同じこと?」と思うかもしれませんが、ちょっと違います。
以下のページのAbobeによる解説が分かりやすいので引用をしますと、「Logデータは、RAWデータと通常データ(Rec.709)のちょうど中間にあたるもので、情報量が多く残っていながらも、ある程度データが圧縮された状態」ということです。
要するに、基本的な動画構造が保たれつつも、「色」というフレーバーがまだ追加されていないフォーマットということです。
Log撮影された動画は、「LUT(Look Up Table=映像にあてるカラープリセット)」を使用して、ポスト・プロダクション(映像制作の編集段階)で色付け作業を行います。
GoProのLogフォーマット
GoProでは、HERO12シリーズで初めてLog形式のフォーマットに対応1しました。GoProでは「GP-Log」と呼んでいます。
HERO12の「10-bit Logエンコーディング」は、通常の動画フォーマットで撮影された映像よりも「低コントラストの色褪せた・くすんだ色」の状態で保存されます。これポスト・プロダクションでカラーグレーディングをする前提としているためです。
そのため、ポスト・プロダクションを行わない、もしくはポスト・プロダクションでカラーグレーディングを行わないという方は、GP-Log形式で撮影はしない方が良いでしょう。
なお、明暗部の映像クオリティを高めるHDRモードは、撮影時にリアルタイムで複数の露出を合成して映像のコントラストやディテールを強調するため、後から色調整を行うGP-Logとは使い方が異なります。
GoProでLogフォーマット撮影をするメリットとデメリット
メリット
GoProでLog撮影を行う最大のメリットは、プロフェッショナルが使用する映像品質を得ることができる点です。小型で軽量なカメラでありながら、高品質な映像を実現できます。
本来なら本格的で大きな撮影機器が必要な中、GoProというコンパクトで軽量なカメラでプロ並みの映像が撮影できるというのは、夢が広がる話です。
デメリット
最大のデメリットは、カラーグレーディングを行う前提の映像になってしまうという点でしょう。
映像のプロフェッショナルのように、ポスト・プロダクションを日常的に行なっている方や知識がある方は問題ないかもしれませんが、そうした知識がない、設備や装備がないという方にはハードルが高いと言えます。
「GoProアクションシーンを撮影して、SNSなどにサクッとアップロードする」という使い方の方は、カラコレ作業の手間があることを考えると、通常のフォーマットでも十分に綺麗に撮影できるため、Log撮影をするメリットはあまりないでしょう。
Footnotes
タグ:GoProの基本機能